上級国民に憧れる下級国民の会

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百田尚樹「錨を上げよ」上級国民はどこで生まれどこへ行くのか

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今回紹介するのは上級国民の百田尚樹さんが一般国民時代に書かれた小説「錨を上げよ」です。
百田さんの1980年代に書かれた処女作であり、本人が趣味で書いた本です。百田さんの本の中ではぶっちぎりで長く、面白いですが読み切るのに滅茶苦茶時間がかかります。休日1日中読み耽っていたのに読み終わるのに3週間近くかかりました。あと百田作品にしては意外とテンポが悪いです。

内容としては主人公作田又三が終戦から昭和の時代を生きていくという感じの本です。生まれてから30代になるまでを描いています。ネタバレ抜きであらすじを説明すると、
1巻 誕生から高校生まで
2巻 大学編
3巻 ウニの密漁編(昭和の頃は北海道でウニを密漁して上級国民になる(通称特攻船)のは流行していました。それを描いた話です。)
4巻 タイ編
となっています。昭和の話なので、近隣住民が学生運動にどっぷりのめり込んだり、浅間山荘事件やロッキード事件に触れていたり、大学が全共闘真っ最中だったりと時代を感じさせます。また昭和はリベラル全盛期なのでキャラクターのリベラル率が非常に高いですね。特に2巻あたりだと登場キャラの8割くらいがリベラルで作田又三が全共闘シンパのリベラル派とバトルしまくる(というか追いかけ回される)というあらすじだけ見ると意味不明な展開が繰り広げられるのもこの辺りです。
ただ終盤の80年代中盤(3巻以降)になるにつれどんどんリベラルキャラが出なくなります。

逆に保守派はこの頃は勢いが無いので、ウニの密漁で作田が上級国民になる3巻の序盤にちょっと出てくるくらいでほぼ出てきません。ヤクザの方が出番ありますね。というかヤクザは最初から最後まで度々登場します。ヤクザ強いですね。終盤でヤクザと売春婦をめぐりバトルする話はとても心に刺さるものがあります。多分「愛」がテーマの小説なんでしょう。

この作品は百田さんの小説の中だとかなり異色の作品で、百田作品は基本的に非常に読みやすく、テンポが早い、時系列も飽きさせないように入れ替えられたり、主人公は他者の為に動き好感の持てる日本男児な性格というのが百田作品に特徴です。あまりにもTwitterと本の百田さんが違いすぎて、百田は二人いて本とTwitterだと別の人が担当しているという謎の都市伝説の根拠の一つすらあります。別人格説もありますね。

なんと言いますかTwitter担当の百田さんが書いたという感じの本です。主人公の作田又三は自分のために動く屑ですし、物語そのものもテンポも悪く、異様なまでに長いです。回りくどい比喩も多く、百田さんらしく無い不気味な本です。百田作品にしては珍しくリベラル批判している部分も結構多いです。まあ素人時代に趣味で書いた本をほとんど直さずに出版したらしいのでこうなっているんだと思います。「影法師」とは真逆の作品です。まあこれはこれで面白いんですけどね。
ただ下ネタだけは最初から最後までたっぷりあるのは百田作品らしい部分ですけどね。

あと作田又三はそのあと詐欺紛いの商売に目覚め「夢を売る男」で登場します。

面白いので暇なら読んでみてもいい本です。ただ異常なまでに長いですし、主人公がアレな性格なのでそれに耐えられるならという条件付きですが。

下級国民の会的推薦度(⭐️5つ評価)

上級国民の方なら⭐️⭐️⭐️⭐️
一般国民の方なら⭐️⭐️⭐️⭐️
下級国民の方なら⭐️⭐️⭐️⭐️

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