今回は界隈で昔話題になったのあの本。そう「ルポ中年童貞」について触れていこうと思います。あんまりこういう内容で書くつもりはなかったんですが、上級国民に憧れる下級国民の会を代表してちょっと物申したい部分があるので取り上げさせていただきました。
中村淳彦さんが童貞たちに体当たりでインタビューをしていく的な内容です。漫画化もされていますね。童貞研究家の間ではこの本の名前だけは聞いたことがあるでしょう。
例えば介護業界自体が童貞たちにとっての受け皿となっている現状や、秋葉原に蔓延する童貞ビジネスなどの実態など数多くの童貞たちの置かれている厳しい現状が紹介されています。
ただちょっとひとりの童貞として言わせていただくと、出てくる童貞がステレオタイプすぎてちょっとリアリティーにかける部分があるかなという印象ですね。
童貞というのは科学的なデータがどうこうというよりは、どっちかというと感覚の話なんですよね。なのでちょっと現役の童貞ではない著者の方には分からないであろう部分も多いので、プロ童貞の会長としてはちょっとツッコミどころは感じます。
例えば本作で言及される女の子の毛穴を気持ち悪がったり、自分とは不釣り合いな処女性を求めるという話です。これは本の中では童貞特有の幼稚な行動として捉えられていますが、実際は違います。童貞がこのような行動をとる理由はただ一つ。そう「心が美しいから」なんですよね。
そう例えるならば清流にしか住むことのできないイワナ。心が美しくて優しいからこのような行動をとるわけです。(まあ本の中では女性が男に求めているのは金と地位で、基本的に優しい男は大嫌いとボロクソに書かれていますが…)
童貞に寄り添って解明していこうという姿勢は素晴らしいですが、細かい部分に作者の童貞に対する偏見に近い部分を感じます。まあ想定している読者も現役の童貞というよりは童貞を小馬鹿にしている人たちだと思うのでこれは仕方ないでしょう。
例えばですが高学歴童貞がめんどくさいという話が作中で触れられます。確かに会長の体感上、高学歴の方が成功体験がある分プライドが高いというのは同意見なんです。実際建設現場だと大卒で元ホワイトカラーとかの方がプライドが高く周りの高卒組を見下しているので、すぐに暴力を振るったり弱そうな隊員を虐めまくって辞めさせたりみたいなのは多いです。ただ童貞かどうかは正直あんまり関係ないと思います。
というか童貞の大半は根暗で周りに嫌われたくないので、ぺこぺこしている奴らばっかりですから。ぶっちゃけ童貞より既婚者の方がトラブル起こしがちですね。
ただ障がい者支援団体ホワイトハンズの坂爪真吾さんの「童貞問題は社会問題のデパートなのでは」という主張のが印象的でした。童貞問題と障がい者を持った人たちの抱える問題が極めて密接に結びついており、支援する必要があると感じられたようです。会長たち童貞は存在自体が一種の社会問題なのかもしれません。
また坂爪さんは自由主義や個人主義の台頭した自己責任の時代の到来によって、相手を見つけられない人々がいる現状を看破しています。歴史的にも珍しい童貞無限湧き地獄が発生している現状も自己責任論的な社会こそが本質的なのでしょう。
まとめると童貞ではない方が読む分には面白いと思いますが、童貞の方が読むにはちょっとあんまりおすすめできないかなという感じでした。
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ためよさんブコメありがとうございます。中村さんはいろんなものに手を出している印象ですね。