上級国民に憧れる下級国民の会

情弱な下級国民同士で生存の為の知恵を共有していきます。

大雪の日の警備は大変 下級国民警備員録

今回は大雪の中で、警備の仕事をした話でもしていきましょうか。

あの日は背骨の芯まで、凍ると思えるほど寒い日でした。天気予報では数日前から雪が降ると出ていましたし、会長もそれなりに対策はしていきました。普段使っている軍手ではなく、革手袋を持っていき、雨具などもポンチョ型ではなく、上下のちゃんとしたものを持っていきました。

安全靴にも防水スプレーと主婦と弱者男性の友と名高いサラダ油を念入りに散布して行きました。サラダ油と防水スプレーの2重の防水加工を施せば大雨以外ならだいたい防げます。お金もあんまり掛からないのでおすすめですよ。

こんな雪の日で、土木系はだいたい工事が中止になっている中では仕事が貰えるだけありがたいです。会長たち警備員は日給月給なので、雪や雨程度のことで休みにされては生活が成り立ちませんから。

現場は小さい解体現場で、一人現場でした。要するに会長が隊長です。

朝礼では搬入出は一台のみ。雪が降るので手早く終わらせて、作業員はとっとと帰るという話でした。これを聞いた時、やる気のない話ですが「1台だけ?今日の現場は当たりだな〜」と思いました。まあそんなはずある訳ないんですけどね。

現場には詰所があって、単なる狭いプレハブですがこれがなかなか快適でした。詰所には石油ストーブがあり、これを自由に使っていいのです。作業員さんたちはコーヒーの缶を上に乗せて温めていました。

誘導内容も雪が降っている以外は大したこともなく、ただの車両のバック誘導です。人通りも少ないので簡単です。雪もあって、作業員の大半は午前中に帰ってしまいました。残っていた数少ない作業員も午後13時30分くらいには帰りました。

時刻は14時、「よし!これはもう流石に帰れるでしょ」という淡い期待と乞食メンタルが膨らんできた会長のことを誰が責められるでしょうか。そして会長は「警備員さんも帰っていいよ」を期待して監督に電話しました。

会長「さっき最後の搬出が終わって、作業員さんもみんな帰りました。もうゲート締めちゃっていいですか?」
監督「あっ、ごめんそれなんだけどさ。灯油頼んじゃってね。それ終わったら締めていいよ」
会長「あ、はい。(帰宅チャレンジ失敗か…)」

さっきまで親よりも身近に感じていた灯油ストーブが、急に憎らしく感じてくるのだから人間というのは心が変わりが早いものです。まあすぐ来るだろうと思って、そのまま立哨を続けました。

しかし、待てども待てども灯油は来ない。30分、1時間と経ち、現場の中の雪はもう10センチくらい積もっています。指は感覚が無くなり、足にも痛みが走っていました。流石に安全靴といえど、大雪の中では2時間くらいが限界です。

そして時刻は16時になりました。会長の中には「本当に灯油を頼んだのか?」とか「業者が事故ってるのでは」という妄想にすらとらわれています。もう早帰りとかどうでもいいから詰所に入ってストーブでぬくぬくしたいと思いながらも車両が来ると言われている手前に休憩するわけにもいかず立哨を続けました。

ここの監督さん優しいので個人的には結構好きなんですが、仕事が適当なので現場の作業員からはものすごく嫌われていました。具体的に言うと報連相という概念が根本的に存在しないのでやりにくい部分があったのかもしれません。

まあ個人的には元請けの立場を利用して、下請けに暴行したり恫喝して回るようなクズ所長や監督も中にはいるのでそれに比べれば、仕事が適当なんて別にそんな怒るほどではないと思ってはいますけれどね。無責任ですがどれだけ工期が遅れようが、目の前の仕事さえこなしていれば警備員には関係ないですし。

そして16時30分。軽トラがハザードを炊いて、会長の前に止まりました。そのままバック誘導で現場に搬入すると血走った目のドライバーが降りてきて、灯油をもらいました。ドライバーは雪で心が折れたのか完全に逝った目をしてましたが、まわりから見れば会長も同じような目をしていたと思います。

ついに終わったと思い、監督に電話したら「後で現場に行くから待ってて。」と言われました。ゲートを締めて、親綱で固定するとようやく終わったという安堵に包まれました。

そして詰所に入った時、不思議な音が後ろから聞こえました。振り返ると詰所の扉が外れていました。それはもう見事に。

「なんて日だ!」と思わず小峠じみたことを叫びました。心が完全に折れました。

仕方ないのでプレハブにドアをくっつけようとするも、これが全然ハマらない。会長に彼女がいないからハメれないのかとか訳のわからないことまで、頭にうかんできます。まあよくよく考えてなくてもドアと彼女はなんの関係もない訳ですが…。何度挑戦し続けても一向にハマらない。

そうこうしている内に気づけば17時になっていました。定時です。もうあたりはすっかり真っ暗になっていました。最後に一回やってみてこれでダメなら監督に頼んで一緒にやってもらおうと思い、投げやりな気持ちでハメたらなぜか成功。ドアは元通りになりました。

あとは詰所の中で、石油ストーブの熱にあたりながら雪を眺めて監督を待っていました。定時を過ぎているので、もう忘れられているのではとも思いましたがなんかどうでも良くなっていたので待つことにしました。警備員に待機を命じて、そのまま忘れて帰っちゃう監督はたまにいて意外とあるあるです。

 

そうしていたら天使(中年男性)が、目の前の現れました。

天使というにはあまりに小汚い中年男性の現場監督ですが、その時の会長は捕まる直前の田代まさし並みに正気を失っており、比喩抜きで本当に天使に見えました。

「忘れられているのでは」とすら思っていた中で、こんな大雪の中でも監督が迎えにきてくれたことが嬉しくて思わず、泣きそうにすらなってしまいました。その場で詰所の中でサインをもらって帰りました。

時刻はすでに、17時30分。普通に定時を過ぎていますが、警備報告書にそれを書いて残業代を貰うなどというセコい発想は不思議なほどに湧いてきませんでした。まあ中年男性が天使に見えるほど錯乱している時点でそんな考えに至るはずがないのですが…

まあなんというか、大雪の前では雨具も貫通しますし、革靴だろうが、革手袋だろうがずぶ濡れになります。それ以上に一番は心がやられますね。というわけで大雪での警備員は大変ということでこの話は終わろうと思います。

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前回のブコメ返し
グラチーさんブコメありがとうございます。やっぱり働かないと、世間とのつながりがないと人間色々と厳しいと感じます。もっとメンタルの強い人なら別なのかもしれませんけれどね。

貯め代さんブコメありがとうございます。アパ社長の偉大さがわかっていただけたみたいで何よりです。

ウサピリカさんブコメありがとうございます。なんというかやっぱり無職は精神的に厳しいですね。

うりまさるさんブコメありがとうございます。不労所得もいいですが、働いてないというのは色々と厳しいですからね。コツコツ働いた方がいいと思います。

テイルズさんブコメありがとうございます。テイルズさんもお仕事頑張ってください。応援しています。

Kami3さんブコメありがとうございます。なんとかして幸せをつかみ取れるよう頑張ります。